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パッド印刷が不安定になる原因とは|風・湿度・溶剤蒸発が印刷品質に与える影響
2026-09-25
同じパッド印刷機、同じインク配合、同じ設定で生産していても、日によって印刷品質が変化することがあります。
その原因として見落とされやすいのが、エアコンの風向、作業場所の温度・湿度、溶剤の蒸発速度などの環境要因です。
パッド印刷では、インクの粘度、溶剤の蒸発、プレートからSilicone Padへのインクの受け取り、Silicone Padからワークへの転写が、適切なバランスで進む必要があります。
環境がわずかに変化するだけでも、このバランスが崩れ、以下のような不具合につながる可能性があります。
- ピンホール
- 糸引き
- 印刷のかすれ
- パターンの欠け
- インク膜厚のばらつき
- ワークへの転写不良
特に、エアコンの風が印刷部へ直接当たると、インク中の溶剤が通常より早く蒸発し、作業中に粘度が変化しやすくなります。
パッド印刷の品質を安定させるためには、機械、インク、Silicone Pad、プレートだけでなく、印刷環境を含めて工程全体を管理することが重要です。
目次
- 風向と湿度がパッド印刷品質に与える影響
- 溶剤の蒸発が速すぎると印刷不良が起こる理由
- 環境と溶剤を調整してインク粘度を管理する方法
- 印刷品質を安定させるプレートの選定
- 治具とワークの固定状態も確認する
- TOKUABEが提供できるサポート
- よくあるご質問
- 用語解説
■ 風向と湿度がパッド印刷品質に与える影響
パッド印刷では、作業場所の環境がインクの状態や転写性に影響します。
特に、エアコンや送風機の風がプレート、Silicone Pad、ワークへ直接当たると、インク中の溶剤が通常より早く蒸発する可能性があります。
溶剤の蒸発が速くなると、インクの粘度が短時間で上昇し、プレートからSilicone Padへのインクの受け取りや、Silicone Padからワークへの転写が不安定になることがあります。
その結果、以下のような症状が発生する可能性があります。
- 印刷のかすれ
- パターンの一部欠損
- インク膜厚のばらつき
- 細い線や文字の転写不良
- 印刷サイクルごとの濃度差
また、湿度が低い環境では、樹脂製ワークや周辺機器に静電気が発生しやすくなります。
静電気が増加すると、ほこりが付着しやすくなるほか、インクが細い糸状に伸びる糸引きや、パターン周辺へのインクの飛散に影響する場合があります。
一方、湿度が高すぎる場合も、使用するインクやワークの材質によっては、乾燥状態や表面状態に影響を与える可能性があります。
そのため、機械や資材が同じであっても、以下の条件が変化すると印刷結果が変わることがあります。
- エアコンの風向と風量
- 室温
- 相対湿度
- 季節や時間帯
- 作業場所の扉の開閉
- 印刷機周辺の排気設備
- インクを開放している時間
■ 溶剤の蒸発が速すぎると印刷不良が起こる理由
溶剤は、インクの粘度や乾燥速度を調整する重要な要素です。
適切な速度で溶剤が蒸発すると、インクはプレートからSilicone Padへ受け取られやすい状態となり、その後、ワーク表面へ転写されます。
しかし、溶剤の蒸発が速すぎると、ワークへ転写される前にインク表面の乾燥が進み、転写性が低下することがあります。
主に以下のような不具合につながります。
印刷のかすれ・パターンの欠け
Silicone Padがプレートから十分な量のインクを受け取れない場合や、ワークへ転写する前にインクが乾きすぎた場合に発生します。
ピンホール
インク膜に小さな穴が発生する症状です。
ワーク表面の汚れ、油分、ほこり、インクの状態、転写時の空気の巻き込みなど、複数の要因が関係するため、溶剤だけで判断せず、ワーク表面もあわせて確認する必要があります。
インク膜厚のばらつき
プレート内のインク粘度が作業中に変化すると、Silicone Padが受け取るインク量も変化し、印刷の濃さや膜厚にばらつきが生じる可能性があります。
糸引き
インクがSilicone Padやワークから離れる際に、細い糸状に伸びる現象です。
インクの粘度、乾燥状態、静電気、使用するSilicone Pad、印刷速度などが関係します。
密着不良
インクの乾燥が転写前に進みすぎると、ワーク表面への濡れ広がりが不足し、密着性へ影響する場合があります。
ただし、密着不良は、ワークの材質、表面処理、インクとの適合性、油分や離型剤、乾燥・硬化条件などにも左右されます。環境要因だけでなく、工程全体を確認してください。
■ 環境と溶剤を調整してインク粘度を管理する方法
印刷品質を安定させるためには、インクの粘度、溶剤の蒸発速度、作業環境を一体として管理する必要があります。
印刷部へ直接風を当てない
エアコンや送風機の風が、プレート、Silicone Pad、インクカップ、ワークへ直接当たらないようにします。
必要に応じて、風向板やカバーを使用し、印刷機周辺の気流を安定させてください。
ただし、設備の排熱や作業者の安全に必要な換気を妨げないよう注意が必要です。
温度と湿度を記録する
不具合が発生した際に環境との関係を確認できるよう、印刷エリアの温度と湿度を記録します。
特に、良品が安定していた時間帯と、不具合が増えた時間帯の数値を比較すると、環境変化との関係を切り分けやすくなります。
インク粘度を定期的に確認する
インクの見た目だけで判断せず、メーカーが指定する方法に従って粘度を確認します。
連続生産では、時間の経過とともに溶剤が蒸発し、粘度が上昇する可能性があります。
確認時は、以下の情報を記録してください。
- インクの種類
- 硬化剤の配合比
- 溶剤の種類と添加量
- 調合した時刻
- 測定時の温度
- 粘度の測定結果
- 印刷結果
環境に適した溶剤を選ぶ
使用するインクの仕様に従い、速乾性または遅乾性の溶剤を選定します。
高温環境や風の影響によって乾燥が速すぎる場合は、遅乾性溶剤の使用を検討します。一方、乾燥が遅すぎる場合は、速乾性溶剤との組み合わせを検討することがあります。
ただし、溶剤の種類や配合量を独自判断で変更すると、インクの密着性、耐久性、色、硬化状態に影響する可能性があります。
必ずインクメーカーの指定範囲内で調整し、変更後は実際のワークで品質を確認してください。
一度に複数の条件を変更しない
溶剤、印刷速度、Silicone Pad、押し込み量などを同時に変更すると、どの変更が改善に影響しのか判断しにくくなります。
条件を一つずつ変更し、各設定で印刷したサンプルと結果を残してください。
■ Silicone Padの材質と形状を確認する
Silicone Padの材質、形状、硬度は、プレートからインクを受け取り、ワークへ転写する工程に影響します。
糸引きや転写不良が発生した場合でも、最初からSilicone Padだけが原因であると判断せず、環境、インク、プレート、ワーク表面とあわせて確認してください。
TOKUABEでは、用途に応じた複数のSilicone Pad材質を取り扱っています。
Nタイプ
耐薬品性と帯電防止性を備え、幅広い種類のインクに対応します。
静電気の影響が疑われる場合の選択肢の一つですが、パッドの変更だけで静電気に関する問題がすべて解消するとは限りません。作業場所の湿度、ワークの帯電状態、除電設備なども確認してください。
LHタイプ
強度と耐久性に優れ、繰り返し印刷での安定性が求められる用途に適しています。
ATタイプ
インク転写量やインク離れに配慮した材質で、糸引きや繊維状のかすれが課題となる用途で検討できます。
Silicone Padの選定時は、以下を確認します。
- ワークの形状
- 印刷面の曲率
- 印刷パターンの大きさ
- 使用するインク
- パッドの形状
- 材質
- Shore E硬度
- 押し込み量
- 印刷速度
■ 印刷品質を安定させるプレートの選定
プレートは、Silicone Padへ供給されるインク量と、印刷パターンの再現性に影響する重要な部品です。
プレート上のパターン深さが均一でない場合、Silicone Padが受け取るインク量に差が生じ、色の濃淡、膜厚のばらつき、印刷のかすれなどにつながる可能性があります。
プレートを確認する際は、以下の項目を確認してください。
- パターンの深さ
- 深さの均一性
- 文字や線の輪郭
- 表面の傷
- 錆
- ピンホール
- 汚れや残留インク
- ドクターブレードによるインクのかき取り状態
TOKUABEでは、用途に応じたスチールプレートを取り扱っています。
| 主な特長 | 深さ公差 | 主な用途 |
Sグレード(Type A) | 高い防錆性と再利用性を備え、細い文字や輪郭の再現に適した高精度仕様 | ±2µm | 微小文字、細線、高い寸法精度が必要な印刷 |
Bグレード(Type B) | 品質とコストのバランスに配慮した標準仕様 | ±4µm | 一般的な量産ライン、標準的な文字・模様の印刷 |
プレートの仕様は、求める印刷精度、パターンの細かさ、生産数量、コストなどを考慮して選定します。
■ 治具とワークの固定状態も確認する
印刷のかすれや濃度差は、環境やインクだけでなく、ワークの固定状態によっても発生します。
ワークにヒケ、反り、寸法差がある場合や、治具との間に隙間がある場合、Silicone Padから加わる圧力が均一に伝わらない可能性があります。
治具を確認する際は、以下の項目を確認してください。
- ワークが毎回同じ位置に配置されているか
- 印刷中にワークが動かないか
- ワークと治具の間に隙間がないか
- 押圧時にワークがたわまないか
- 印刷面に圧力が均一に伝わっているか
- ワークの寸法公差に対応できているか
高精度なプレートを使用しても、ワークの固定状態が不安定であれば、印刷品質がばらつく可能性があります。
■ TOKUABEが提供できるサポート
TOKUABE (THAILAND) CO., LTD.では、パッド印刷の不具合分析から、資材の選定、印刷条件の確認、量産前のテスト印刷まで、工程全体を対象としたサポートを提供しています。
主な取扱製品・サービスは以下のとおりです。
- 高精度スチールプレート
- 各種Silicone Pad
- ワークの材質に適したインクと溶剤の提案
- ワーク固定用治具
- Pad Printing機
- 印刷条件の設定支援
- 技術研修
- 実ワークを使用したテスト印刷
- 印刷サービス
テスト印刷では、以下の項目を確認できます。
- インクとワーク材質の適合性
- Silicone Padの材質・形状・硬度
- プレートの仕様
- インク粘度と溶剤条件
- ワークへの転写状態
- 印刷後の密着性
- 量産に向けた印刷条件
ご相談の際は、以下の情報をご準備ください。
- 良品と不良品のサンプル
- 不具合が発生した位置の写真
- ワークの材質、形状、寸法
- 使用しているインクと溶剤
- インクの配合条件
- Silicone Padの材質、形状、硬度
- プレートの種類
- 現在の印刷設定
- 作業場所の温度と湿度
- エアコンや送風機の位置
- 不具合が発生する時間帯
これらの情報を比較することで、環境、インク、Silicone Pad、プレート、治具、機械設定のどこから見直すべきかを切り分けやすくなります。
※詳細については、本記事に添付されているPDF資料をダウンロードいただくか、ページ下部のお問い合わせフォームよりご連絡ください。
■ よくあるご質問
Q1:プレートの深さにばらつきがあると、印刷へどのような影響がありますか?
A1:プレートの深さは、Silicone Padが受け取るインク量に影響します。
パターンの深さが不均一な場合、インク膜厚にばらつきが生じ、色の濃淡、パターンの欠け、印刷のかすれなどが発生する可能性があります。
Sグレードなど、深さ公差を厳しく管理したプレートは、微小文字や細線など、高い再現性が求められる印刷に適しています。
Q2:糸引きやピンホールが発生した場合、Silicone Padを変更すれば改善しますか?
A2:Silicone Padの変更によって改善する場合がありますが、最初に原因を切り分ける必要があります。
糸引きは、インク粘度、溶剤の蒸発状態、静電気、Silicone Pad、印刷速度などが関係します。
ピンホールは、ワーク表面の汚れ、油分、ほこり、インクの状態、転写時の空気の巻き込みなどによっても発生します。
静電気の影響が疑われる場合はNタイプ、インク転写や糸引きの改善を検討する場合はATタイプが選択肢となりますが、環境やインク条件もあわせて確認してください。
Q3:量産前にテスト印刷を依頼できますか?
A3:はい。TOKUABEでは、実際のワークを使用したテスト印刷に対応しています。
インクの適合性、Silicone Pad、プレート、治具、溶剤、印刷条件などを比較し、量産前に印刷品質と密着性を確認できます。
■ 用語解説
- 糸引き : インクがSilicone Padやワークから離れる際に、パターンの周囲へ細い糸状に伸びる現象です。インク粘度、乾燥状態、静電気、転写条件などが関係します。
- ピンホール : 印刷膜に発生する小さな穴や点状の欠損です。ワーク表面の汚れ、空気の巻き込み、インクの状態など、複数の原因によって発生します。
- 溶剤 : インクの粘度や乾燥速度を調整するために使用する液体です。使用する種類と添加量は、インクメーカーの指定条件に従う必要があります。
- パッド印刷テストサービス : 量産前に実際のワークを使用し、インク、Silicone Pad、プレート、治具、溶剤、印刷条件などの適合性を確認する試作印刷サービスです。
※詳細については、本記事に添付されているPDF資料をダウンロードいただくか、ページ下部のお問い合わせフォームよりご連絡ください。
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