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PAねじの吸湿による寸法変化はどこまで許容できる?PCねじという選択肢
2026-08-04
樹脂ねじを選定する際には、強度や耐熱性だけでなく、温度や湿度による寸法や機械特性の変化も考慮する必要があります。
なかでもPAは比較的吸水率が高く、使用環境によっては吸湿による寸法変化や機械特性の変化が生じます。そのため、高湿度環境や寸法精度が求められる用途では、吸水率の低いPCねじが代替候補となります。
本記事では、PAねじとPCねじの違いを物性値から比較し、PCねじを検討したい使用条件について解説します。
目次
- PAねじが温度や湿度の影響を受けやすい理由
- PCねじとPAねじの物性値を比較
- PCねじを検討したい使用条件
- 日本ケミカルスクリューがPCねじに注力する理由
- FAQ
PAねじが温度や湿度の影響を受けやすい理由
樹脂材料は、温度や湿度などの使用環境によって寸法や機械特性が変化することがあります。温度変化による寸法変化には線膨張係数が、湿度による変化には材料の吸水性が関係します。
PAは、優れた機械特性や耐摩耗性を持つエンジニアリングプラスチックですが、比較的吸水率が高く、周囲の水分を吸収しやすい材料です。
PAが吸湿すると、寸法だけでなく、強度や剛性などの機械特性も変化する場合があります。ねじでは、ねじ外径やねじ山、相手部品とのはめ合い、締結状態などへの影響を考慮する必要があります。
実際の変化量は、PAの種類や材料グレード、成形条件、温度、湿度、使用期間などによって異なります。そのため、PAであれば必ず問題が生じるわけではありませんが、高湿度環境や厳しい寸法精度が求められる用途では、吸水性を考慮した材料選定が必要です。
PCねじとPAねじの物性値を比較
PAとPCの違いを確認するうえで、特に注目したいのが吸水率です。
参照資料に記載された代表値は以下の通りです。
PCとPAの特性比較表
特性 | PC | PA6 | PA66 |
吸水率 | 0.15% | 1.1% | 1.5% |
線膨張係数[×10⁻⁵/K] | 5.6 | 8 | 9 |
連続使用温度 | 115℃ | 65℃ | ― |
参照資料では、PCの吸水率は0.15%で、PA6の1.1%、PA66の1.5%より低い値となっています。また、線膨張係数も、PCの5.6に対してPA6は8、PA66は9です。
この比較から、PCはPAよりも吸湿による影響を受けにくく、参照資料の代表値では温度変化による寸法変化も比較的小さいことが分かります。また、連続使用温度についても、PA6の65℃に対しPCは115℃と高く、耐熱性の面でも優位性があります。
ただし、吸水率や線膨張係数は、材料グレードや測定方法、測定条件などによって異なります。実際の材料選定では、代表値だけでなく、製品仕様と使用環境を確認することが重要です。
PCねじを検討したい使用条件
PCねじは、特に次のような用途で検討できます。
- 高湿度環境で使用する場合
- 温度や湿度の変化が大きい場合
- 厳しい寸法公差が求められる場合
- 長期間にわたる締結安定性が求められる場合
- 絶縁性が求められる箇所
- 断熱性が求められる箇所
- 非磁性が求められる箇所(電子機器・計測機器周辺など)
- 軽量化が求められる箇所
- 耐食性が求められる箇所(金属ねじの錆・腐食を避けたい場合)
特に、わずかな寸法変化が組立精度やはめ合いに影響する用途では、PAより吸水率の低いPCねじが有力な代替候補となります。また、PAねじと比較すると、PCねじは吸水による寸法変化・強度低下が少なく、透明性を活かした目視確認用途にも対応できる点が特長です。
ただし、長期的な締結安定性を評価する際には、吸水率だけでなく、使用温度、荷重、クリープ、薬品との接触なども考慮する必要があります。
日本ケミカルスクリューのPC製品は、連続使用温度の目安が115℃です。PA6の連続使用温度が65℃であることと比較すると、より高温環境での使用にも対応しやすい材料といえます。難燃性については、標準色の透明製品がUL94 V-2、白色・黒色製品はUL94 V-2相当となっています。
日本ケミカルスクリューがPCねじに注力する理由
当社では、技術的にはPAねじを製造することが可能ですが、あえて積極的な製造を行っていません。その理由の一つが、PA材の高い吸水性と、それに伴う寸法や機械特性の変化です。
特に、湿度による寸法変化を抑えたい用途や、寸法精度が求められる用途では、吸水率の低いPCねじを選択肢の一つとして提案しています。
ただし、すべての用途でPCがPAより優れているわけではありません。用途によってはPAをはじめとする他の樹脂材料が適している場合もあります。
温度、湿度、荷重、薬品との接触、難燃性、絶縁性などの使用条件を確認し、用途に合った材料を選定することが重要です。
※本記事に記載している数値は参考値であり、保証値ではありません。
※詳細をご希望の方は、本記事に付属するPDF資料をご覧いただくか、ページ下部のお問い合わせフォームよりご相談ください。
FAQ
Q1. 日本ケミカルスクリューがPAねじよりPCねじに注力しているのはなぜですか?
A1. PAは比較的吸水率が高く、吸湿によって寸法や機械特性が変化する場合があるためです。特に寸法精度が求められる用途では、吸水率の低いPCねじを代替候補として提案しています。
Q2. PCねじはどのような条件で検討できますか?
A2. 高湿度環境、温度や湿度の変化が大きい環境、厳しい寸法公差が求められる用途などで検討できます。ただし、実際の選定では、使用温度、荷重、クリープ、薬品との接触なども含めて総合的に判断する必要があります。
会社情報
測定機械 / 産業用機械 / 医療機器
プラスチックねじ 樹脂ネジ / プラスチックばね 樹脂バネ / 樹脂成形品
日本ケミカルスクリュー株式会社は、金属では対応が難しい絶縁・非腐食・軽量といった特性が求められる環境に向けて、高機能樹脂製のネジ・ボルト・ナットを製造・販売している専門メーカーです。 豊富な材質ラインナップと精密成形技術を活かし、医療機器、電子部品、化学装置、食品機械、自動車など、さまざまな産業分野の締結課題を解決しています。 約3,000アイテムのラインナップと60年のノウハウが詰まった製品は日 ...
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