【炭化水素系・水系洗浄剤(Cleaning Agents)】電子部品・車載部品の素材に合わせた選定で洗浄不具合を解消

【炭化水素系・水系洗浄剤(Cleaning Agents)】電子部品・車載部品の素材に合わせた選定で洗浄不具合を解消

米中貿易摩擦を背景としたチャイナプラスワン(China+1)戦略の進展により、タイではプリント基板(PCB)や次世代自動車(EV)関連の投資が拡大しています。電子部品や車載分野の生産拠点としての役割が高まり、製造工程に求められる精度や品質管理の水準も一段と引き上げられました。

その中で、製造プロセスの一つである洗浄工程の重要性が改めて意識されています。特に高密度基板では、外観では確認できないレベルの汚染であっても長期信頼性や電気特性に影響を及ぼし、微細な不純物の残留が品質面での課題につながります。

EV部品や精密電子デバイスでは、洗浄剤の選定を誤ると素材の劣化や絶縁不良を招くことがあり、現地の素材特性や気候条件を踏まえた洗浄条件の設計が、品質確保の要点です。本記事では、洗浄剤選定の判断材料となる具体的な数値と、その技術的背景を整理します。

目次

  • タイのPCB産業集積が洗浄不具合を誘発する理由
  • 現場の素材と洗浄剤の不一致で残留物が付着する構造
  • 炭化水素系と水系洗浄剤、コストと安全性で見る差
  • 最適な洗浄環境を構築する前に確認する素材耐性の数値
  • 鍋林タイランド(Nabelin Thailand)ができること
  • FAQ
  • 本記事を理解するためのキーワード

■ タイのPCB産業集積が洗浄不具合を招く背景

タイ国内では、米国向け輸出を視野に入れた生産移転の進展により、プリント基板(PCB)や半導体後工程への投資が増加しています。タイ政府のデジタル経済推進政策も後押しとなり、工場の高度化が進みました。しかし、洗浄工程では従来基準を前提とした運用が残る現場もあり、製造プロセスとの間にギャップが生じています。この差が、外観では把握しにくい洗浄不具合の要因です。

高密度に実装された基板では、部品下部や微細な隙間にフラックスや加工油が残留します。タイ特有の高温多湿環境では、こうした残留成分が大気中の水分と反応し、イオンマイグレーション(電極間の短絡現象)を引き起こします。車載電子制御ユニット(ECU)などの故障は事故へ直結するため、品質管理部門にとっては、洗浄工程の状態を把握し、適切な管理水準を維持することが重要です。

■ 現場の素材と洗浄剤の不一致で残留物が付着する構造

洗浄不具合の多くは、汚れの成分(有機・無機)、洗浄剤の化学的性質、ワーク素材の物理的耐性が一体で検討されていないことに起因します。例えばタイの製造現場では、洗浄後の樹脂素材に「白化」や「クラック」が発生する事例があります。これは、洗浄液が素材内部に浸透し、内部応力が解放されることで生じる現象です。

また、残留物の付着は、洗浄液の表面張力がワーク形状に対して高すぎる場合にも発生します。液が微細な隙間に入り込めず、汚れを十分に浮かせられないためです。逆に浸透性が高すぎると、乾燥工程で液を除去しきれず、シミやベタつきの原因になります。さらに、タイ国内の供給水に含まれるミネラル成分が水系洗浄剤と反応し、不溶性化合物として基板上に沈着する事例も確認されています。

こうした条件を踏まえ、現地環境に適したプロセス設計を行うことが重要です。

■ 炭化水素系と水系洗浄剤、コストと安全性で見る差

工業用洗浄剤の選定では、炭化水素系と水系の比較が重要な検討ポイントです。炭化水素系洗浄剤は油汚れに対する溶解力が高く、蒸留再生機を導入すれば洗浄液を循環利用できます。結果として、長期的にはランニングコストの抑制につながります。一方で、引火点を持つため、タイの消防法や倉庫管理規制に基づいた安全対策が不可欠です。

これに対し、水系洗浄剤は不燃性であり、作業環境の安全確保という点で扱いやすい特性があります。ただし、排水処理設備の導入や、洗浄後の乾燥工程での電力消費が新たなコスト要因です。こうした違いを踏まえ、洗浄対象や工程条件に応じた選定が求められます。以下の表に、現場で判断材料となる主な特性を整理しました。

■ 洗浄剤種別における技術・経済特性の比較

比較項目

炭化水素系洗浄剤

水系洗浄剤

洗浄ターゲット

鉱物油、切削油、グリース

水溶性加工液、フラックス、無機粉塵

安全規制(タイ国内)

消防法上の危険物該当(要ライセンス)

非危険物(排水規制への対応を優先)

環境負荷

低(VOC対策は必要だが排水は出ない)

中(含油排水の処理工程が必須)

再利用性

蒸留再生により長期間の循環が可能

限定的(膜処理等による一部回収)

乾燥特性

自己乾燥性が高く、乾燥時間が短い

低く、エアナイフや真空乾燥機を推奨


■ 最適な洗浄環境を構築する前に確認する素材耐性の数値

洗浄剤を導入または変更する際、品質保証の観点で確認しておきたい指標の一つがSP値(溶解度パラメータ)です。これは物質の溶けやすさを示す数値で、洗浄剤と素材のSP値が近いほど溶解しやすくなります。不具合を避けるには、汚れ(油など)のSP値には近く、ワーク素材(プラスチックなど)のSP値からは適度に離れた洗浄剤を選定することが基本です。

さらに、タイの生産現場のように微細加工が多い領域では、液体の表面張力も重要な指標となります。一般に20〜30 mN/m程度の低い表面張力を持つ炭化水素系溶剤は、狭い隙間への浸透性が高く、精密部品の内部洗浄に適しています。一方、水系洗浄剤では界面活性剤の添加によって表面張力を調整しますが、その濃度管理が洗浄品質のばらつきを左右します。

■ 鍋林タイランド(Nabelin Thailand)ができること

鍋林タイランドは、化成品、食品、医薬原料を三本柱とする総合商社として、タイ製造業の多様なニーズに対応しています。洗浄剤や溶剤の選定においては、単なる製品販売にとどまらず、タイ国食品医薬品局(FDA)の輸入ライセンスや炭化水素ライセンスについて、確認から取得までを一貫して支援する体制を整えています。

また、他社では取り扱いが難しい50ml程度の少量試薬(富士フイルム和光純薬製品など)についても、ライセンス取得を含めた供給体制を確保しています。試薬や化学品の輸入手続きが複雑なタイ市場においても、必要な手続きを整理しながら安定供給につなげています。

物流面では、サムットプラカーンに倉庫拠点を構え、独自のロジスティクス網を築いています。日本からの定期便を毎月運用し、供給の安定化とコストの平準化を実現しています。定期便による輸入では運賃チャージを発生させない運用を行い、タイの東部経済回廊(EEC)を含む各工業団地の製造業へ製品を届けています。

PCB、車載、半導体といったタイで拡大する産業分野に対し、化学分野の知見を踏まえた提案を行いながら、現地の生産活動を支えています。

■ FAQ

Q1:現在使用している洗浄剤で、素材にクラックが発生しており困っています。
A1:素材と洗浄剤のSP値(溶解度パラメータ)の差を確認することが重要です。鍋林タイランドでは、素材の耐性データと洗浄力のバランスを踏まえ、代替となる低攻撃性洗浄剤の選定を支援しています。

Q2:輸入ライセンスの取得には、どの程度の期間と工数がかかりますか?
A2:化学品の種類やタイ国FDAの分類によって手続き期間は変動します。鍋林タイランドではライセンス取得に関する実務ノウハウを蓄積しており、申請手続きの進行を管理しながら、供給開始までの期間短縮に取り組んでいます。

Q3:定期便を利用した場合、在庫の欠品リスクはありませんか?
A3:毎月の定期輸入に加え、サムットプラカーンの倉庫で一定量の在庫を確保しています。お客様の月間使用量に合わせて配送計画を立てることで、安定した供給体制を維持しています。

■ 本記事を理解するためのキーワード

  • 炭化水素系洗浄剤:石油由来成分を精製した溶剤。油汚れに対する溶解力が高く、蒸留再生による再利用が可能な工業用洗浄剤。
  • 水系洗浄剤:水をベースに界面活性剤を配合した洗浄剤。不燃性で取り扱いやすく、フラックスや無機系汚れの洗浄に適したタイプ。
  • 輸入ライセンス:タイFDAやエネルギー省などが管轄する化学品輸入の許可。取得には分類確認や申請書類の整備などの手続きが必要。

※詳細をご希望の方は、本記事に付属するPDF資料をご確認いただくか、ページ下部のフォームよりお問い合わせください。



会社情報

Nabelin (Thailand) Co., Ltd.

主要三品目

工業用化成品 / 食品添加物 / 試薬

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Nabelin (Thailand) Co., Ltd.は、2006年に設立・2007年にはタイ投資委員会(BOI)の認可を受け、 創業20周年を迎えました。 当社は日本(本社)をはじめ、中国、台湾、フィリピン、マレーシア、インドネシアなど、アジア各国に拠点があります。これらのネットワークを活かし、安定した商品供給を行っています。 日本からの製品輸入を強みとし、タイ国内のお客様に化学品やさまざまな ...

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