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【プレス金型の割れ・欠けを減らしたい】硬さだけでは判断できない冷間工具鋼の選定ポイント
2026-08-06
プレス金型に割れや欠けが発生すると、「硬さが不足しているのではないか」と考えがちです。しかし、硬さを高くするほど耐摩耗性や耐変形性は向上する一方、材料はぜい性的になりやすくなります。
割れ・欠けを減らすには、HRC値だけでなく、靭性、熱処理後の寸法変化、加工面の状態、放電加工や表面処理の影響まで含めて確認することが重要です。
目次
- 割れ・欠けの発生状況から原因を絞り込む
- 硬さ以外に比較したい3つの特性
- YSTG11の比較試験と使用実績
- YAMAICHI SPECIAL STEEL (THAILAND)ができること
- よくある質問
■ 割れ・欠けの発生状況から原因を絞り込む
金型の損傷は、発生した位置や形状によって確認すべき項目が異なります。
| 主に確認したい項目 |
刃先や角部に小さな欠けが繰り返し発生する | 靭性、硬さ、局部的な応力集中 |
金型が突発的に大きく割れる | 金型形状、角部、加工痕、熱処理状態 |
放電加工部分から亀裂が発生する | EDM条件、再溶融層、仕上げ状態 |
熱処理後の修正加工が多い | 寸法変化、金型形状、焼入れ・焼戻し条件 |
チッピングは、金型表面に発生した微細な亀裂が進展し、刃先や角部の一部が脱落する現象です。一方、大きな割れは、鋭い角部、機械加工痕、研削痕、放電加工後の表面層などが亀裂の起点になる場合があります。
特に放電加工では、表面に再溶融層や微細な亀裂が生じることがあります。パルス時間が長くなるほど熱影響層が深くなり、溶融層の亀裂も増える傾向が報告されているため、材料だけでなくEDM条件や仕上げ工程も確認が必要です。
■ 硬さ以外に比較したい3つの特性
1.靭性と衝撃値
硬さが同じでも、亀裂の発生や進展に対する抵抗は鋼材によって異なります。
割れ・欠けが課題の場合は、目標硬さに加えて、衝撃値、靭性、ミクロ組織を確認します。単純に硬さを下げると耐摩耗性や耐変形性が低下するため、必要な硬さを維持しながら、組織的な靭性を確保できる材料を選ぶことが重要です。
2.熱処理後の寸法安定性
材料を変更した結果、熱処理後の膨張・収縮が大きくなると、修正加工や再測定の工数が増加します。
現行材と候補材は、焼入れ温度、焼戻し温度、冷却方法、測定位置をそろえ、実際の金型に近い条件で比較する必要があります。
3.切削加工・表面処理との適合性
材料価格が下がっても、工具摩耗や加工時間が増えれば、金型製作費全体ではコスト低減にならないことがあります。
切削性、加工面、工具摩耗に加え、PVDコーティングを行う場合は皮膜の密着性も確認します。加工痕やEDM後の表面層は亀裂の起点になり得るため、材料、加工、表面処理を別々に評価しないことが重要です。
■ YSTG11の比較試験と使用実績
YAMAICHI SPECIAL STEEL (THAILAND) CO., LTD.がタイ国内で供給するYSTG11は、JIS表示認証を取得したSKD11相当の冷間工具鋼です。
A社SKD11との社内比較試験では、硬さだけでなく、衝撃値、熱処理後の寸法変化、切削性、工具摩耗、PVDコーティング密着性まで確認しています。
| YSTG11 | A社SKD11 |
硬さ | 58.6 HRC | 58.3 HRC |
衝撃値 | 13.2 J/cm² | 13.9 J/cm² |
505℃焼戻し後の寸法変化率 | 0.07% | 0.10% |
切削性、加工後の外観、工具摩耗についても、A社SKD11と比較して問題がないことを確認しています。PVDコーティング後の試験でも、ロックウェル圧痕周辺に皮膜の剥がれは認められませんでした。
超高張力鋼板用金型での使用実績
YSTG11は、自動車ボディー骨格部品を製造する3,000トントランスファー金型に採用されています。
- 被加工材:超高張力鋼板SGCA1180
- 板厚:1.6 mm
- 使用工程:外形抜き、絞り、トリム、曲げの全工程
- 従来材:A社SKD11
- 評価:加工性、焼入れ硬度、焼入れ後のひずみなどでA社SKD11と同等
このほか、自動車シート部品用の自動順送金型、精密部品用金型、窯業関連のタンデム金型にも使用され、説明資料に記載された販売実績は合計105トンです。
※比較数値は社内試験結果です。実際の性能は、金型形状、加工条件、熱処理条件、使用環境などによって異なります。
■ YAMAICHI SPECIAL STEEL (THAILAND)ができること
割れや欠けの原因は、鋼材だけとは限りません。硬さ、金型形状、熱処理、加工面、EDM、表面処理などが複合している場合があります。
YAMAICHI SPECIAL STEEL (THAILAND) CO., LTD.では、材料の販売だけでなく、実際の損傷状況や製造条件を踏まえ、次の範囲をまとめて検討できます。
現行材と比較できる冷間工具鋼の提案
現在使用している鋼種、要求硬さ、被加工材、損傷の発生状況を確認し、YSTG11を含む冷間工具鋼から候補材を提案します。
単純な規格対照だけではなく、次の点を踏まえて検討します。
- 耐摩耗性と靭性のバランス
- 熱処理後の寸法安定性
- 切削加工性と工具摩耗
- PVDコーティングとの適合性
- 品質を維持した場合のコスト低減効果
材料から加工・熱処理まで一括対応
材料供給に加え、指定寸法への切断、精密機械加工、真空熱処理、表面処理、タイ国内への配送まで対応します。
材料だけを変更するのではなく、熱処理や加工条件を含めて検討できるため、複数の外注先に個別に確認する負担を抑えながら、現行材との比較を進められます。
「硬さは基準内なのに欠けが止まらない」「日本材から切り替えてコストを下げたいが、熱処理変形や加工性が不安」といった課題について、材料と工程の両面からご相談いただけます。
■ よくある質問
Q1.硬さを下げれば割れを防げますか?
A1 : 硬さを下げることで割れにくくなる場合はありますが、耐摩耗性や耐変形性が低下する可能性があります。硬さだけを下げるのではなく、必要な硬さを保ちながら靭性を確保できる材質や熱処理条件を検討することが重要です。
Q2.YSTG11は超高張力鋼板用の金型にも使用できますか?
A2 : SGCA1180、板厚1.6 mmを加工する3,000トントランスファー金型での使用実績があります。外形抜き、絞り、トリム、曲げの全工程で使用され、A社SKD11と同等との評価を得ています。
Q3.材料、熱処理、表面処理をまとめて相談できますか?
A3 : 材料供給に加え、切断、精密機械加工、真空熱処理、表面処理までまとめてご相談いただけます。現在の損傷状況や製造条件に応じて、確認すべき項目を整理します。
※ 詳細をお知りになりたい方は、ページ下部のお問い合わせフォームよりご連絡ください。
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